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2006年 01月 23日
リコールの話の続きです。 今回のリコールですが、本文にはこう書いてあります。 燃料ポンプ電子制御ユニットのOリングの気密不良により浸水し、当該電子制御ユニットと燃料ポンプの接続端子が腐食して接触不良を起こし、最悪の場合、燃料ポンプが作動不良を起こすおそれがある。私の知っている限り、BMWは4輪/2輪とも、エンジンの制御ユニットは全て、BOSH社の物を使っていると思います。なので恐らく、今回リコールとなったのはBMWのバイクですが、実際にそれを引き起こしたのは、部品メーカであるBOSH社の部品(であると思われる)訳です。 製造業に携わる方々ならご存じかと思いますが、自動車のエンジン制御ユニットの様に、一体型(アッセンブリー)で納品される形態の部品は、契約においても、その部品が故障した際には、その部品メーカが保証するという形態になっていることがほとんどです。 まあ、パソコンなんかでもありますよね。 CD-ROMが故障しました。そう言う場合は、ユーザに対してはパソコンメーカが保証しますが、さらに、パソコンメーカがその損害の補償をCD-ROMを製造したメーカに弁済を求める、って形が。 「ふ~ん」って読み進めてしまうかもしれませんが、製造業に携わる者としては、これが本当に怖いんですよ。 今回、リコールを起こした部品は、恐らく原価が10円もしない「Oリング」という部品でした。でも、それによって起こったリコールを直すために、 1.リコールが発生したことを、該当車両を所持する全てのユーザに連絡する 2.販売店のサービスに協力を依頼して、ユーザの車両を修理する 3.全ての該当車両が修理されたかを集計し、その結果を報告する という工程を行うことが、法律で明確に規定されています。 言うまでもなく、これらのリコール工程には、全て人件費がかかり、その額も膨大な物になります。これら全てが、「完成車メーカ」が被った損害な訳ですから、不良部品を納入した「部品メーカ」はそれを弁済しなければいけません。部品メーカは、そう言うリスクを負っているわけです。 さらに、もしこれに、 4.この故障によって死傷者が出て、その損害賠償を求められている が加わったとしたらどうでしょう? たった10円の部品なのですが、自動車に対して部品を納めるというという行為は、ともするとこれだけのリスクを抱えていると言うことが出来るわけです。 そう考えていくと、僕は、リコールに腹を立てる前に、この「10円のOリング」を設計した「設計者」への同情の念の方が先に来てしまって、「大変だ~」って感想になるわけです。 追伸: 最近は聞きませんが、以前Microsoftのビルゲイツが、「我々が作れは、自動車のコンピュータなんてあっという間に高性能に出来る」って豪語して、自動車業界への参入をたくらんだことがありましたよね。アンチMicrosoftの僕としては、皮肉を込めて是非とも参入して欲しいと思ったものです。 だって、あれだけ完成度の低いソフトなら、何百万台というリコールを出して、あっという間にリコール費で彼らの膨大な利益を食いつぶして倒産したことでしょう。 ただ残念な事に、さすがに彼らも賢いらしく、カーナビの様な「命に関係ない部品」から自動車業界への参入を開始しているみたいですね。 追伸2: もちろん、一般社会ですので「片方が100%悪い」って事はあり得なくて、こういう場合には当然「リコール分担率」の交渉があるそうです。この交渉が、また、凄く、大変な、交渉、らしい、ですよ。
by ddskk
| 2006-01-23 22:24
| バイク
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