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2005年 09月 27日
大人買いしたバイクの話の続きです。
「200万の新車は、5年後でも100万で下取り出来ます」 「120万の中古車は、5年後の下取り価格は50万を切ります」 オートバイのディーラーに行って、最初に説得されたセリフはこれでした。そうか~、大人の世界では、バイクも金融資産になるのか~、って妙に感心しました。 つまり、「同じ5年間を楽しむにしても、新車でも100万円、中古車でも70万円、その差は30万しか無いですよ。」という[「相対価格」で考える論理展開ですよね。 まあ、この説得方法、車やオートバイの様に、中古市場がしっかりしている業界ではよく使われるレトリックなので、知らなかった訳では無いですが、いざ、自分がその立場になってみると、「おお、大人!!」っていう妙な感動がありましたね。 さて、さて、皆さん、この考えに賛成ですか、反対ですか? 僕は、ズバリ反対の立場です。ココには重要な落とし穴があります。 オートバイは、こけたり、事故ったりした瞬間に、価値はゼロ円になります こんな風に、僕はバイクがおシャカになったときの金銭的なインパクト、つまり「絶対価格」で物事を考えています。個人的には、これの考えが趣味人で、色々と無駄遣いをしながらも、バランスを取ってきたコツだと思っています。 さてさて、 この相対価格の考え方で、成功した有名な企業が、アメリカのオートバイメーカー「ハーレー・ダビットソン(以下“HD”と約します)」です。 一昔前、HDのイメージは、「ワイルド、反社会的」という物でした。これは多分、日本の皆さんのHDのイメージと似ていると思います。他人にとっては、これでも良いのかもしれませんが、当の本人にとっては、この反社会的なイメージが足かせになって、売上は大いに落ち込んでいました(まあ、他にも品質的な問題等々色々ありましたが)。 そこで、HDは考えました。「僕たちは、もっと都会的な、プレミアムなブランドになって、売上を伸ばしたい!!」と。そこで、ターゲットを「都会派、30~40代、知的、金持ち、でも、ちょいワル親父」に絞って、徹底的なマーケティングを開始します。 この、「ちょいワル親父」のキーワードは、今流行の雑誌『LEON』と一緒ですね。 さて、このマーケティングの内容は多岐に渡るのですが、その一番大きな物の一つとして、 HD本社が、中古車市場をコントロールし、 中古車価格が「高値安定」状態になるように操作した という戦略があります。 もちろん、開始当初は赤字となる戦略です。でも、これによって、 ・HDは、価格が高い ・でも、値落ちはしない ・つまり、2,3年で価値がガタ落ちする日本車とは違って高級品だ ・しかも、リセールバリューがあるから、金融資産と考えられる ・あとは、初期投資さえ用意すればOK ・でも、俺、金持ちだから、それぐらいのお金なんて持っているぜぃ!! というスパイラルで、売上は向上する、しかも、ブランドイメージまでが向上する、と一石二鳥の成功を収めるわけです。 これこそ、「相対価格」戦略を積極的に仕掛けて成功した代表例ですが、今回、バイクのディーラーで、セールストークを聞きながら、この話を思い出しました。 さて、さて、 これを踏まえて、僕はどういう選択をしたかというと、結局、新車を買いました。 それも、「絶対価格」の考え方で(って言っても全然説得力無いな~)。 まあ、新車の方が性能がアップしていて、商品として魅力的だったと言うこともあるのですが、ホントにお店に行くまでは、「こっちの中古」って返事をする予定で、気がついたら「新車にします」って答えていました。 この辺の心境、我ながらいまだに謎です。ストレスのせいなのか、僕にこんな決断力があるなんて、初めて知りました。 でもね、でもね、 「俺は絶対価格で買うんだ!!」っていう明確な意志を示す為に、年収の半分近くの現金(貯金)をカバンに入れて、契約の時には、テーブルの上にその札束を「ど~ん」と置きました。 これ、なかなか面白い体験でしたよ。
by ddskk
| 2005-09-27 20:35
| バイク
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